短歌
われは見る 変われぬ視点で 同じ地を きみ見晴るかす なにを想いて
詩
世界は広い それなのに、みるのはいつも同じ景色。 決まった場所から場所へ 満ち溢れる自然を、外へ外へ、流し続け 身体をただひたすらに運ぶ。 わたしはいつしか ちっぽけな頭の世界に、住むようになっていた。 視野をつかさどる目は 場所を映すだけの、鏡のように錆びれ 前方を捉える頭部は 歩みを進めるはずの二本足と影をあわせ 下へ、下へと 光の届かぬところに、引っ張り落とされていく。 蜃気楼のような、刹那の一現象を まるで最果てまで伸び行く水平線のように錯覚し わたし自身が、己を黒い地球へと すっぽり包み込んでしまったのだ。 数多の日々が混沌となった哀れな者を、眼下に収める地に 君は止まっていた。 いつも見慣れた風景を 君はまったく違う世界として眺めているのだろう。 あるときは木陰で囀り、あるときは地に萌える実をつつき 季節を越せば、遠く遠くへ、風に乗って飛び立っていく。 時限を越えて君が生きる星は、紛れもない地球だ。 わたしはどうだろう。 こんなに宙は広いのに、目も耳も鼻も 風を感じる気持ちさえ、止まってしまいそうだ。 わたしは地球人なんだろうか。 本当にこの世界は、なんの香りもしない 鉄のような銀色の街なのだろうか。 君と目があってから、わたしはそんなことを考えた。
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