短歌

遠き空
刻々永き
夕紅に

はるか稜線
命司る峰

楽しい日も
悲しい日も
あの頃を思い浮かべる日も

ふと空を仰ぎ
遠きを見渡せば
山も川も木も風も
見渡せるのが我が故郷

「もう夕方を過ぎているのに
まるで陽が散歩しているみたいだね」

「景色を眩く包んでいるよ」

「そうか、今日は夏至なのか」

映し出された峰々は
どこまでもどこまでも重なるように

ぼんやりと
くっきりと

古代から変わらぬ美しき稜線を
わたしたち島人に投げかけている

夕紅から
蒼き闇へと

ひとはみな
山に命を重ね、魂を移し
日々の指針を置いていた

無限のときといのちが
あの峰々に萌えながら
眠っているのだ



「管理人の部屋」に掲載されている全ての記事の著作権は交告承已に帰属します。転載、複製、改変等を禁止いたします。